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中央アルプス山麓のボクのフィールドでは、3月15日にツキノワグマの初活動がみられた。
この日の夜間に、いきなり動物食の食事をしていったやつがいる。
そんなツキノワグマの動きを見つけてから、さらに痕跡がないものかとフィールド内を精力的に歩いてみた。
そして、やっかいなものを発見してしまった。
なんと、ヒノキやスギなどの植林地で、幹にツキノワグマの爪痕を見つけてしまったのである。

まさかと思う光景であったが、クマたちは明らかに目的をもって植林木によじ登って、てっぺんまで向かっていたのだった。
それも、350本ほどある人工林の8割がたの樹木に、クマの登った形跡があったのだ。
その爪痕は、素人目には見落としてしまうほどに、微妙だった。
体重のあるツキノワグマが、たったこれほどの痕跡を残すだけで自分の体を支えながら垂直の幹を登っているのだから、爪先がいかに強靭なものかを思い知ることができる。
この行動は、いったい何を意味しているのだろうか?
ヒノキやスギなどの人工林は、すなわちツキノワグマを減らしてきた要因として関係者が衆目するところだ。
その樹木をツキノワグマが生活のために明らかに、ひとつの目的をもって利用していた痕跡が見られたのだから、ここでまたひとつ人工植林針葉樹に対するアレルギーを「リセット」してみなければならない発見をしてしまったというわけだ。
こうしたやっかいな発見をしてしまうと、ツキノワグマが森のあらゆる樹木を立体的に利用している事実を再発見できる。
そして、私たち人間が自然に対して身勝手な希望的観測だけで自然を語っているという色眼鏡をも払拭しなければならないことにも気づく。

ただ、これらの爪痕がいつできたものかは、ボクの不注意で特定できないことだ。
樹皮にある傷のあんばいからは昨秋以降のものと思われるが、一本の木に何回も登るワケでなく、たったの一回だけ登って目的を達成させていたことである。
この行動が、ますます不可解で、森を総合的に見届けなければならないという宿題がまたひとつできてしまった思いである。

写真上:樹齢30−40年のヒノキとスギ林。
写真中:ヒノキの幹にできた爪痕。
写真下:スギの幹にできた爪痕。
写真下の下:モミの幹にも登った爪痕があった。
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